「イザヤ書を学ぶ」第8回(鬼沢力男)

ユダ王国がバビロンによって滅ぼされると預言するエレミヤは、人々から非難され、逮捕・拘留され、殺害の危機を迎えますが、免れます。ユダ王国の滅亡後、エジプトに連行されたエレミヤは、エジプトがバビロンによって滅んだ後、バビロン自身も、神によって断ち滅ぼされると預言しました。エレミヤの預言から、当時の人々が、「神に立ち帰れ」という言葉に、如何に聞き従わなかったかということが分かります。もう一人の預言者エゼキエルは、第1回バビロン捕囚の時代に召命を受けましたので、エレミヤのことはよく知っていたと思われます。基本的なメッセージは、エレミヤと同じものです。彼ら預言者の言葉に耳を傾けず、神に立ち帰ろうとしなかったイスラエルを神は撃ち、バビロン捕囚という苦難を迎えます。内村鑑三は、人、社会、国家間の問題を次のように述べています。「人類間の平和問題は、つまり神と人との間の平和問題、人と人の間の正義の問題は、つまり神と人との間の正義の問題である。」(「ロマ書の研究下)。神は生きておられます。イスラエルのみでなく、アッシリアもバビロンも、そしてペルシアも、全て勝ち誇った国々は背信のゆえに滅んだ。今日のアメリカ、ロシア、中国、そして日本に対しても預言者は語ることでしょう。「神に立ち帰らなければ、滅びる」と。